高橋 良徳
職種:施設長
所属:「ゼノ」こばと園
入職:2010年4月
どんな要素が 人を癒すのだろう
大学では臨床心理学に興味があって(四国の方の大学で)心理学の勉強をしていました。
心理療法っていっても当然色々な理論や種類はあるわけなのですけれど。「共通してどんな要素が人を癒すのか?」ということに関心をもっていました。
学生当時は、アルバイトで発達検査の手伝いも経験させてもらいました。
当初は臨床心理士の試験を受けるつもりでいたのですが、広く心理学を学びたいという考えが強くなり、臨床心理士指定ではない(関西の方の)大学院を選び、修士まで(大学院まで)いました。
就職の段階になって「発達障害の子に関わることで、心理学も活かせるような仕事がないかな」と探していたけど、なかなか見つからなかった。そんな頃に知人の紹介で「ゼノ」こばと園を知りました。広島県東部エリア福山市の中でも大きな拠点となる児童発達支援センターということで。
そして、直接問合せをして働きかけをし、今に至ります。
関わってきた子どもたちは8000人以上、外来療育では断ったことないです
「ゼノ」こばと園は1978年に開設してもう45年以上ですね。8000人以上の子どもさん達と関わってきたと聞きます。
園児は定員があるので、年度途中での入園はお受けできないこともありますが、外来療育では今まで断ったことないです。
週1回通う子もいて様々な形ですけれど。うちでは何とかできることをしていきたいと工夫しています。
伸び伸びと、自由度高く働かせてもらっています
今は、現場で療育にあたるというよりも施設長という立場で働いています。
昨年までは児童発達支援管理責任者として働いていて、児童発達支援計画を立てたり、現場の職員さんが子どもや保護者の方へ良い支援ができるためのサポート。
そして職員さんが快適に働ける環境づくりも考えるマネージメント業務に関わってきました。
現場の仕事をするのと今とでは、それぞれの立場で面白さの種類が違います。
現場をやっていて面白かったのは、自由度が高いこと。「ゼノ」こばと園で働く一番のいいところと思っています。
もちろん、ある程度のガイドラインはしっかり守ります。
例えば、公教育の場(学校など)では子どもの年齢に応じてカリキュラムがあると思うのですが。
ここ(「ゼノ」こばと園)ではまず子どもがどういう状態かを見極めて、その子どもに合ったことをしようという考え方です。
それぞれの持ち味で職員さんの思いも大切にしながら、子どもにどういう支援が必要なのかをじっくり考えながら実現できるところが面白いですね。
でも、任されるってことは逆に責任もあるし、試行錯誤を繰り返す苦労もあるかもしれません。
(職員さんが)自分で勉強しながら進めていく部分もあるから大変と言えば大変。
逆に発見があって面白いとも言えます。毎年毎年できることが増えてくるけど、担当する子どもも変わる。
研修に行って学んだ部分と実際の支援が結びついて喜びを感じたり、発見したり。その連続です。
人と関わるって、日々すごい発見の連続ですよね。
その人がどう捉えるかで仕事が面白いか大変かって大きく変わってくると思いますよ。
何が得られる? それは「豊かさ」の価値観によって変わりますよね。
やっぱり人から求められて感謝されて、人の役に立ってというような。
それを豊かと感じられる人にとっては、生きがいを持って働ける職場だと思います。
逆に仕事だから別に中身はどうだっていい、「とにかくお金がいい仕事がしたいんだ!」というのであれば、それもまたよし。その目的に合った仕事に就いたらいいですよね。
「人と関わることによって自分は成長したいんだ」っていう方には福祉業界や「ゼノ」少年牧場での仕事は合っているかもしれないですね。
もちろん、どんな価値観が偉いとかすごいって話ではなく。自分にとって「大切」は何かって事かな。
だけど「人の役に立ちたい」だけでもやっぱり厳しいかな…?
「福祉=人のために」だけとなると、先々苦しくなったり続かなくなるかもしれないですね。モチベーションが維持できないというか。
僕は「人のために」ってなくもないですけど、「自分が成長したい、もっと学びたい」が根底にあるかもしれません。
心理学でいうと、「どうやって人が成長するのだろう?」「くじけそうな心が立ち直っていく要素って?」そんな心の動きや立ち上がりみたいな変化にも関心が向きます。
人のためでもあり、自分のためでもある。そのバランスを取ることがバーンアウト(燃え尽き症候群)しない秘訣かな?なんて思っています。
余暇の時間で自分を思いっきり解放
その時々ではまるものが変わるのですが。筋トレにはまって研究していました。インターネットを駆使して独自に、もう病的に(笑)。ギターもです。特に教室で習うというのではなく、自己流です。
あとはソロキャンプ。
みんなで行くのも家族と行くキャンプも好きですけど、ソロだと行く場所も時間も過ごし方も自由だしいいですね。ソロキャンプで好きなお酒を楽しんで、そのお酒に合う簡単な料理をちょこっと作って味わって。お店で食べておいしいなって思ったらキャンプで再現します。
ドリップしたコーヒーを飲みながら読書して、ギターをして、季節ごとにかわる鳥や虫の声が聞こえて、陽射しや風を感じる自然に囲まれた環境で。至福です。
キャリア教育とかキャリアアップとか、そんな言葉の表層よりも…
「その仕事だからこうする」というセオリーみたいなことを大切にするより
もっと自分にいろんなことを身につけたいとか、こんなことができるようになったとか。表面的な言葉のみで価値の良し悪しを判断するのではなくて「自分がどう感じるか」の感覚を大切にできるかどうかだと思います。
決して「キャリア形成」という言葉そのものを否定するわけではないです。
自分の変化を面白がるという部分があれば、結果として「成長=他人から見てキャリア形成している人」
みたいになっていくんじゃないかな。
つまり、その要素(自分の変化を面白がる感覚)みたいなのがあると、「ゼノ」の環境をうまく活かしながらステップアップしていけるかもしれないということですね。
同じポジションで働くにしても、その環境下で「より良くするためにはどうするか」ということを自分に問いかけていくと開けていくのかな、なんて思います。