ふりがな はずす
読み上げ
 


ゼノ修道士について


ゼノ修道士について

   

ゼノ・ゼブロフスキー修道士

”アリの町の神父” ゼノ・ゼブロフスキー

「ゼノ」少年牧場の創始者、(故)ゼノ・ゼブロフスキー修道士は、東欧ポーランドに生まれ、キリスト教カトリック・コンベンツアル聖フランシスコ修道会から、1930年(昭和5年)布教のため39歳で祖国ポーランドを離れ、師と仰いだマキシミリアノ・マリア・コルベ神父と共に来日されました。

以来在日50余年、半世紀にわたって日本の貧しい人々のために歩き続けてきた人です。特に戦後の混乱期、東京・浅草のバタヤ街の人々を十字架の下に自立更生へと導いた「アリの町づくり」は映画にもなり、「アリの町の神父」(正確には修道士です)として有名になりました。

ゼノ少年牧場の誕生

「白いヒゲ・黒の修道服に黒いカバン、黒いドタ靴」が代名詞の“無限の愛の人”ゼノさんの最後の夢となった「知的に障がいのある子どもたちの楽園づくり」に多くの人が共鳴し、これが「ゼノ」少年牧場として実を結んでいきます。

1961(昭和36)年、地元常石造船株式会社社長・(故)神原秀夫氏からの建設用地の提供を始め、様々な善意ある多くの人々の尊い支援と協力によって「ゼノ」少年牧場はここ沼隈町に誕生しました。

「ゼノ」少年牧場の開場式は、開会の辞・コップ神父の祝福の祈り・ゼノさんの挨拶で始まりました。

1962(昭和37)年4月14日に開かれた理事会の「開場式準備について」の協議記録によると、この後に経過報告・来賓祝辞・坂下場長謝辞・少年牧場の歌合唱・閉会の辞、と続いています。  日本カトリック学生連盟の「ゼノ少年牧場建設援助に関する活動の総括報告」(小冊子)には、「晴天。午後1時、式始まる。功労者への感謝状、関係者の祝辞が次々と読み上げられる。米軍岩国軍隊楽団、福山工業高校ブラスバンドの演奏がのどかな春の山々にこだまする。また、式は盛大のうちに終わった。式の始まる寸前までクワを片手に牧場の整備にあたっていたゼノ修道士の姿が印象的であった。・・・・式には広島学連から3人、大阪・京都各1人参加した。」と記されています。

また、「現在収容されている子どもは8人、牧場の生き物は子犬が2匹、山羊が9頭、ウズラ14羽、アヒル24羽、ニワトリ9羽、食用ハト1対、子牛が1頭である。この子牛は保母さんの貧しい給料から2000円出して買ったとのこと・・・・。」と開所時の情況にも触れています。

「人間是れみな同じ」

このように、ゼノさんの大きな夢、知的障害児のための施設づくりは、ほかの事業と同じように「無」からの出発でした。土地探しに始まり、共鳴した数多くの人々の支援と協力で推し進められ、約3年の歳月を重ねて実を結んだものでした。

この「ゼノ」少年牧場建設に関わる記録の一文は、ゼノさんの生涯のほんの1ページにすぎません。50余年にわたる宣教・救済事業・社会奉仕などによって、日本の人々の心に温かい光を灯し、ゼノさんが活動の中で口にされていた「人間是れみな同じ」の精神を刻み込みました。

 

 

 

 

「ゼノ、人ビトノ善意ノ運ビ屋デス。」

ゼノさんは、自分を「人ビトノ善意ノ運ビ屋デス」と言っていました。日本政府は、戦後の高度経済成長下の1969(昭和44)年、明治100周年を記念し、多年の功績に対してゼノさんへ勲四等瑞宝章の叙勲を行いました。

77歳になっていたゼノさんは「アリガトウ」と勲章を受け取った後、「コレ、天国イラナイネ」とトレードマークの黒い鞄にしまい込み、取材に来ていた記者達を笑わせたといいます。

ゼノさんの人柄を語る有名なエピソードの一つです。異国の旅人・ゼノさんは、自分が認められることより、小さき者・弱き者・貧しき者の為に“無限の愛”を捧げる事を最優先する人でした。

ローマ教皇との謁見

1981(昭和56)年2月23日、ゼノさんは東京の目白にある東京カトリックセンターの一室で、来日したローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の特別謁見を賜り、銀のロザリオを贈られました。

教皇に手や頭をなでられ「オーオー、パパ、パパ」と車椅子の上で、感激に涙ぐみました。心臓病と老衰のために、2年5ヶ月前から東京・清瀬市梅園のベトレヘム病院に移り、入院生活を送っていたゼノさんにとって、教皇から長年の労をねぎらわれたこの日は、人生最良の1日となりました。

さようなら、そしてありがとうゼノさん

そして翌年、ゼノさんは肺炎を併発し4月24日午後4時45分、90歳の長寿を全うして天に召されました。胆嚢炎で1週間後に手術を控えて入院中だった当事の村田理事長は、この訃報に接し病をおして駆けつけました。

奇しくもその日はゼノさんが52年前に日本へ上陸した同じ日時でありました。また「ゼノ」やまびこ学園を母体に7つの施設をもつ法人に発展した「ゼノ」少年牧場(当時)が、創立20周年を迎える1週間前の悲しい別れとなりました。葬儀は26日東京都北区の赤羽教会大聖堂で行われ、その遺体は東京都府中市天神町のカトリック墓地に埋葬されました。

安らかな眠りについたゼノさんは、聖母マリアのみもとへ祝福の旅路に・・・・。

     

ご利用に関するご相談は、窓口までお気軽にお電話ください。

お問い合わせは084-987-0357

平日9:00~17:00まで

※ご見学に関するご相談は、各事業所までお電話ください。

           
電話をかける